日本経済新聞で紹介されました

投稿者: 三木聡一郎 / 投稿日: 2020年09月26日
9月21日の日本経済新聞で、小児放射線被曝軽減の取り組みに関し、当科の前田恵理子先生の活躍が紹介されています。

記事はこちら:

前田恵理子先生。東大病院にて。

内容紹介

小児心臓CTは、かつてはカテーテル検査やIVR以上に被曝が多い検査でした。昨今の技術の進歩に伴い、胸部単純写真程度の線量で診断に十分な画質を得ることができるようになりました。被曝低減に伴い、かつては被曝の心配から敬遠されてきた小児心臓CTの適応が、国際的に著しく拡大しています。東大病院でも、いまや世界標準となっている0.3mSv程度の線量で小児心臓CTを撮影しています。

しかし国内では、昔からCTが普及していた分、ハイエンドな機器への更新が進んでも、昔の標準線量のまま撮影している施設が少なくありません。論文を出しているような、先進的なはずの施設でも同様なのが現状です。

東大に事務局を置く「日本小児心臓CTアライアンス」では、診断参考レベル設定のための全国調査や、小児心臓CTスキルアップセミナーの開催を通じて、国内の線量是正に努めております。

ひとこと

2020年4月の医療法施行規則改正に伴い、被曝管理がすべての医療機関に義務化されました。CT検査に被曝はつきものです。被曝を増やせば画質はよくなりますが、発癌リスクが上昇します。かといって減らしすぎて、診断に差し支えるほど画質が低下してしまえば、検査は被曝損に終わってしまいます。検査目的を考慮し、診断に必要十分な線量管理を行い、患者さんを放射線障害から守ることは、我々放射線科医の重要な責務です。

東大放射線科からは、佐々木康人先生、赤羽正章先生、井上優介先生といった大先輩の先生方が、医療被曝分野の要職を歴任してこられました。放射線科医として興味を持って下さる方が、一人でも増えることを願っております。