2020年4-9月に東大放射線科の医局員が筆頭著者となり、アクセプトされた論文からハイライトをご紹介いたします。第3弾は、臼井友希子先生、入江隆介先生、三木聡一郎先生に、最新の論文の内容や、若手の先生方へのメッセージ、今後の抱負などを語っていただきました。
臼井友希子先生 (NTT東日本病院放射線科 後期研修医)
放射線科医2年目、医師4年目の快挙です!
Evaluation of peripheral bronchiole visualization using model-based iterative reconstruction in quarter-detector computed tomography. Usui Y, Kurokawa R, Maeda E, Mori H, Amemiya S, Sato J, Ino K, Torigoe R, Abe O. PLoS One. 2020 Sep 18;15(9):e0239459. doi: 10.1371/journal.pone.0239459. eCollection 2020.

内容紹介
超高精細CT(QDCT)での画像描出能を異なる条件で再構成が行われた3グループで比較した論文です。
それぞれの再構成グループで健常肺の同一の気管支を肉眼的に評価可能な末梢まで追跡し、胸膜との距離を測定比較することでQDCTでの気管支の描出能を評価しました。
ひとこと
昨年度放射線科1年目に東大病院在籍中に執筆した論文です。近年CTの空間分解能を大きく向上させたQDCTでの気管支の描出能を評価しました。
初めての論文でしたが、東大病院の先生方のご指導のもと、研究執筆することができました。
入江隆介先生(順天堂大学医学部附属静岡病院放射線科 助教)
Accelerated acquisition of carotid MR angiography using 3D gradient-echo imaging with two-point Dixon. Irie R, Amemiya S, Ueyama T, Suzuki Y, Kamiya K, Takao H, Mori H, Abe O. Neuroradiology. 2020 Oct;62(10):1345-1349. doi: 10.1007/s00234-020-02452-6. Epub 2020 May 18.PMID: 32424711

内容紹介
頚部MR angiographyの高速化に関する論文です。学位論文の半分ほどの内容を含むものとなっています。
ひとこと
皆様のご活躍をお祈り申し上げます。
三木聡一郎先生(東大病院 コンピュータ画像診断学/予防医学寄付講座 特任助教)
Prospective Study of Spatial Distribution of Missed Lung Nodules by Readers in CT Lung Screening Using Computer-assisted Detection. Miki S, Nomura Y, Hayashi N, Hanaoka S, Maeda E, Yoshikawa T, Masutani Y, AbeO. Acad Radiol. 2020 Apr15:S1076-6332(20)30156-2. doi: 10.1016/j.acra.2020.03.015. Online ahead of print.PMID: 32305166
内容紹介
放射線科医の肺結節の「見逃し」の傾向を実際の日常読影環境で長期評価した研究です。検診胸部CTの実際の読影環境で使われているコンピュータ支援検出(CAD)システムの運用データより、人間がどの部位の結節をよく見逃すのか、その傾向にどの程度の個人差があるのか、といったことを調べました。
ひとこと
いわゆる「医用画像のAI自動診断」はとても注目されているテーマですが、まだ日常臨床で一般の放射線科医が使える域には達しておらず、検証や基礎研究が足りていない分野です。我々のチームでは、アルゴリズムを開発するだけでなくそれを臨床現場で実際に検証するための環境が整っていますので、今後もいろいろな知見を発表していければ、と思っています。
臼井先生、入江先生、三木先生、おめでとうございます!