板井研究奨励賞2021受賞報告

投稿者: 中井雄大 / 投稿日: 2021年04月25日
当科助教の中井雄大先生が、2020年にRadiology誌には掲載された論文 ”MRI Findings of Liver Parenchyma Peripheral to Colorectal Liver Metastasis: A Potential Predictor of Long-term Prognosis” の顕著な業績に対して、板井研究奨励賞を受賞されました。東大放射線科では、五ノ井渉先生、古田寿宏先生、八坂耕一郎先生に続いて4人目の受賞となります。中井先生に寄稿いただきました。

（編集、リード文：前田恵理子）

板井研究奨励賞を受賞された中井雄大先生と、日本医学放射線学会理事長の青木茂樹先生

対象論文

主論文

MRI Findings of Liver Parenchyma Peripheral to Colorectal Liver Metastasis: A Potential Predictor of Long-term Prognosis. Nakai Y, Gonoi W, Kurokawa R, Nishioka Y, Abe H, Arita J, Ushiku T, Hasegawa K, Abe O. Radiology. 2020 Dec;297(3):584-594. doi: 10.1148/radiol.2020202367

副論文

MRI Detection of Intratumoral Fat in Colorectal Liver Metastases After Preoperative Chemotherapy. Yudai Nakai, Wataru Gonoi, Akifumi Hagiwara, Yujiro Nishioka, Hiroyuki Abe, Junichi Shindoh, Kiyoshi Hasegawa  AJR Am J Roentgenol. 2018 May;210(5):W196-W204. doi: 10.2214/AJR.17.18814.

板井研究奨励賞

日本医学放射線学会では、平成15年1月19日逝去された板井悠二先生の御遺志により放射線診断学の発展を願って寄付された基金を元に、先生を追悼記念するため板井研究奨励賞を設けて、腹部画像診断に業績のあった若い研究者を顕彰しています。

ひとこと

板井悠二先生は当医局の大先輩であり、特に肝臓の画像診断において世界をリードしていらっしゃいました。残念ながら私が医師になる頃にはすでに他界されていましたが、多くの放射線科医から尊敬されていたとお聞きしています。こうして大先輩の名を冠した名誉ある賞をいただけたことを大変光栄に思います。

受賞対象となったのは『大腸癌肝転移の化学療法後脂質沈着と予後』と『大腸癌肝転移の末梢肝実質のMR画像所見と予後』についての2論文です。いずれも臨床で疑問に思ったこと、臨床医と議論を交わす上で気づいた臨床医の疑問を解決しようと取り組みました。未熟な私に道筋を示してくださった阿部修先生、五ノ井渉先生、そして共同研究としてご助力いただいた東京大学医学部肝胆膵外科、病理部の先生方に心より感謝申し上げます。微力ではございますがこれからも臨床の気づきに基づいた研究を続け、少しでも放射線科学の発展に寄与できたらと考えております。