放射線治療研究部門

放射線治療部門では、放射線治療における線量分布の最適化等の物理工学的研究、放射線障害の軽減を目的とした臨床的・生物学的研究、最近のEBMにのっとった臨床研究を中心に行っています。

当院の放射線治療部門は伝統的に物理工学的研究に積極的で、これまでわが国の高精度放射線治療における主要な役割を担ってきました。高精度放射線治療の一つである定位照射においては、ガンマナイフを保有しているのみならず、平成11年度に導入された世界に数台しかないC-arm型ライナックを用いて、分割で行う定位放射線治療や体幹部への応用を試みています。強度変調放射線治療(intensity modulated radiotherapy; IMRT)への対応も準備済です。

放射線障害に関しては、そのメカニズムの研究とともに、動物実験で薬剤による肺障害の軽減の研究を行い、一定の成果が得られました。また、被曝症例の紹介も少なくなく、臨床的知見が集積しつつあります。臨床研究としては、主に脳腫瘍、頭頸部腫瘍などで当院の治療成績を発表してきましたが、最近では、多施設共同で転移性脳腫瘍に対する定位照射±全脳照射の無作為比較試験も施行中です。

さらに、進行末期癌における緩和医療についても積極的に取り組んでおり、緩和ケア病床の運営の主体ともなっています。