死亡時画像診断研究グループ

死亡時画像診断グループでは、ご遺体のCTを撮像することで死因究明に役立てる研究を行っています。

研究の背景

死亡時画像診断(死後画像、オートプシーイメージング、Aiとも呼ばれます)には、死因を推定する手段として、大きな期待が寄せられています。2016年10月から施行された医療事故調査制度では、死亡時画像診断の有用性を認めており、全国の医療機関では、死因に疑問のある症例に対し、死亡時に遺体のCT(死後CT)を撮像する動きが加速しています。しかしながら、画像の解釈手法は多くの臓器や疾患で未だ確立しておらず、医療現場では死因推定を巡る混乱が解決していません。死亡時の画像情報が適切に利用されるためには、撮像法の適正化や、解釈手法の確立が必要不可欠です。

これまでの活動と研究成果

東京大学医学部附属病院では、2009年4月から、放射線医学教室と病理学教室が協同して、死亡時画像診断専用のCTを設置し、当院での診療の末、残念ながら亡くなり、病理解剖を予定された症例全例に対し、解剖直前に死後CTを撮像しています。死後CTの病変情報は、病理解剖に役立ちます。また、臨床経過-生前CT-死後CT-病理解剖の4者の詳細な対比を行い、得られた情報を臨床に還元しています。さらに、検討の結果発見した新事実を科学的に検証し、査読付国際学術誌に発表しています。これまでに、生前CTであれば病的と診断されるCT所見が、死後CTでは病的でない死後変化であることを、さまざまな臓器について明らかにしてきました。

心筋の死後変化(A:生前CT、B:死後CT、C:病理標本)
Okuma H, Gonoi W, Ishida M et al. PLoS One. 2013;8(9):e76026.

今後の展望

今後も、疾患群・臓器ごとに、死後CTの正常所見と病的所見の境界を明らかにし、死後CTの撮像法を適正化し、死因推定力を検証するための研究を進めます。研究成果は、死亡時画像診断を適正に行う際の指標となると考えられます。2022年度からは、死亡時画像診断専用CTが更新され、より新規的な研究が可能となります。法医学教室との提携も推進していきます。

メンバー

業績 (2022年8月現在)

英文原著

英文総説

英文症例報告

和文総説

和文原著・症例報告

和文症例報告

出版

医学雑誌

講演・講義等

博士論文

共同研究・競争的資金等の研究課題

受賞歴

メディア・報道