鈴木文夫先生大学院卒業報告

投稿者: 鈴木文夫 / 投稿日: 2021年02月15日
2020年度末には、4名の大学院の先生方が卒業されます。一人一人の先生方から、研究テーマを決めるまでのいきさつ、指導体制研鑽の様子、苦労したこと、来年度以降の抱負など、大変参考になるメッセージを頂きました。第1弾は、鈴木文夫先生です。

学位研究の内容

大学院に進学した当時は研究についての知識や経験は全くなく、研究テーマも決まっていませんでした。どちらかというと体幹部領域よりも中枢神経領域の研究に興味があり、医局の何人かの先輩方の学位指導をされた佐藤典子先生のいらっしゃる国立精神・神経医療研究センター病院に国内留学させていただくことにしました。

佐藤先生にいただいた研究テーマの1つは有棘赤血球舞踏病とハンチントン病の脳形態学的差異の評価でした。有棘赤血球舞踏病とハンチントン病は臨床症状や画像所見は類似していますが、VSRADの白質の解析で前者は視床周囲の白質の萎縮が見られるのに対し、後者では同所見は見られず、両疾患の鑑別の一助になると考えられました。また、有棘赤血球舞踏病の臨床症状との関連に焦点を置いた画像所見の変化についての評価をもう1つのテーマとしていただきました。一般的に有棘赤血球舞踏病は不随意運動を中心とするmovement disorderと考えられていますが、てんかんがしばしば見られることや画像所見が臨床症状に先行しうること、逆に臨床症状があっても画像で異常が見られないことがありうることなどを示すことができました。

懇切丁寧にご指導を賜りました佐藤典子先生始め国立精神・神経医療研究センター病院の先生方にこの場を借りて御礼を申し上げます。

大学院4年間を振り返って

国立精神・神経医療研究センター病院での勤務で、市中病院ではほとんど見られない神経変性疾患の画像診断の勉強をさせていただきました。臨床病理検討会では病理所見と画像所見、臨床症状の対比を中心として勉強することができました。いくつかの症例については研究会や勉強会で発表をさせていただきました。また、週に1回都立神経病院の中田安浩先生のもとで勤務をさせていただき、そちらでも中枢神経領域の画像診断の修練をさせていただきました。大学院に進学する前は神経変性疾患の画像診断は触れる機会がほとんどなく、苦手に思っていましたが、国内留学を機に多少は苦手意識が払拭されたかと思います。

来年度の所属と抱負

来年度は東大病院で勤務させていただきます。放射線科医としてまだまだ未熟であり、これからも画像診断の修練を積んでいきたいと思います。