越野沙織先生大学院卒業報告

投稿者: 越野沙織 / 投稿日: 2021年02月15日
2020年度末には、4名の大学院の先生方が卒業されます。一人一人の先生方から、研究テーマを決めるまでのいきさつ、指導体制研鑽の様子、苦労したこと、来年度以降の抱負など、大変参考になるメッセージを頂きました。第2弾は、越野沙織先生です。
フランス留学時代の越野沙織先生

学位研究の内容

ディープラーニングを用いて脳動脈瘤を検出するAIを共同開発し、放射線科医や脳神経外科医に使用していただくことで、AIの有用性を示しました。大学院2年次に世界最大の放射線科学会である北米放射線学会にて口頭発表し、日本からは唯一Travel Award Program for Studentsを受賞しました。大学院3年9月には、本研究結果に基づき、ディープラーニングを用いたAIでは、放射線科領域で日本初の薬事承認を国より取得しました。また東京大学医学部附属病院よりベストスタッフ賞をいただきました。大学院4年次にはヨーロッパ最大の欧州放射線学会にて口頭発表し、Invest in the Youth Awardを受賞しました。現在、全国100施設以上の病院や診療所で開発したAIが利用されています。

大学院4年間を振り返って

大学院2年次には、日本医学放射線学会とフランス放射線学会の交換留学で、パリ第6大学附属病院のPitié-Salpêtrière Hospitalにて神経放射線を学びました。シャルコーやバビンスキー、フロイトを輩出した歴史ある病院で、脳画像の研究・勉強をして参りました。大学院4年次には、医局のチーフレジデントとして、微力ながら後輩医師の教育指導、ローテートの割り振り、その他の管理業務に従事させていただきました。大学院4年間で、書ききれないほど数多くの研究に携わると同時に、臨床業務を行っていくことは非常に大変でしたが、充実した日々を送らせていただきました。心が折れそうになる時もありましたが、周りの方々・先生方に支えられながら何とかやっていくことが出来ました。この場をお借りして、お世話になった皆様には心より感謝と御礼申し上げます。

来年度の所属と抱負

来年度からは東京大学医学部附属病院22世紀医療センター コンピュータ画像診断学/予防医学講座の特任助教として、研究や臨床業務をバランスよく行っていきたいです。研究を実用化し、世界中の人々の役に立つことが研究者の使命だと思います。現状に甘んじず、より多くの命を救うため、今後とも邁進していく所存です。