CIRCUSについて
CIRCUSとは
CT・MRIをはじめとする医用画像診断装置の進歩に伴い、診断に使用される画像は一検査あたり数百~千枚程度と飛躍的に増加しており、一日あたりの検査件数も増加しています。そのため、医師は膨大な画像を観察する必要が生じており、大きな負担となっています。また、負担の大きい作業を長時間続けることで、見落としなどを招くことにもなります。以上の背景から、診断の効率・精度の向上をもたらすコンピュータ支援診断/検出(computer-aided diagnosis/detection, CAD)ソフトウェアの開発が期待されています。
CADソフトウェアの開発/臨床応用を促進するためには、アルゴリズムの開発、ソフトウェアの実装、臨床使用、知見のフィードバック、アルゴリズムおよびソフトウェアの改善、さらなる臨床使用の循環が必要です。
CIRCUS(Clinical Infrastructure for Radiologic Computation of United Solutions)はこれらの循環を実現することを目的に開発された、統合的な CAD 開発プラットフォームであり、完全にウェブベースで開発されています。
CIRCUSの構成
CIRCUSは以下の2種類のトップレベル・アプリケーションで構成されています。
CIRCUS DB (database)
CAD ソフトウェアの開発では、対象となる疾患の元画像および診断結果を含む症例情報をデータベースに蓄積します。しかし、症例情報の入力、特に病変形状のペイント入力作業は非常に時間を要するため、入力作業の効率化が望まれます。CIRCUS DB は Web ベースの病変形状ペイント入力インターフェイスを含む画像データベースシステム(CIRCUS DB)です。
CIRCUS DBの特徴
- 複数疾患ならびに複数 DICOM シリーズに対応
- 症例情報の入力項目は対象とする疾患毎に設定可能
- ソフトウェア開発用の元画像および病変形状はボリュームデータとして取得可能(症例情報は JSON ファイルにて取得)
CIRCUS CS (clinical Server)
開発したCADソフトウェアを臨床現場で使用するためには、画像診断装置から画像を転送した直後に処理が実行可能でかつ、処理結果に対する評価も容易に行える環境が必要になります。我々はCADソフトウェアの臨床使用、評価、および追加学習を容易にする、Webベースの統合的CAD臨床使用・評価プラットフォーム CIRCUS CSを開発しました。2011年10月よりベータリリース版として配布を開始しています。
CIRCUS CSの特徴
- Webブラウザ上で画像解析アプリケーションの実行・結果表示が可能
- 病変検出、可視化、自動計測などの各種画像解析アプリケーションは Dockerイメージベースのプラグインとして随時追加/削除可能
- ユーザが診断結果に基づく評価を入力することでソフトウェア改善のみならずユーザの診断傾向分析のための情報収集が同時に実現
CIRCUSプロジェクトの沿革
2006.04 | CIRCUSプロジェクト立ち上げ |
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2007.04 | CIRCUS DB (database)開発開始 |
2008.01 | CIRCUS DBを東京大学医学部附属病院にて使用開始 |
2008.04 | CIRCUS CS (clinical server) 開発開始 |
2009.01 | CIRCUS CS β版を東京大学医学部附属病院にて臨床使用開始 |
2010.04 | CIRCUS CS Release candidate 1 (RC1) を発表 |
2010.11 | CIRCUS CS RC2 を発表 |
2011.03 | CIRCUS+プロジェクト開始 |
2011.08 | CIRCUS CSが関連3病院で使用開始 |
2011.09 | CIRCUS+システム稼働 |
2011.10 | CIRCUS CS 2.1 配布開始 |
2012.05 | CIRCUS CS 3.0 配布開始 |
2012.12 | CIRCUS CS 3.3 配布開始 |
2012.06 | CIRCUS CS 3.4 配布開始 |
2013.12 | CIRCUS CS 3.7.1 配布開始 |
2014.06 | CIRCUS CS 4.0 フリーソフトとして公開開始 |
2014.08 | UTH CAD Challenge開始 |
2019.10 | 新版CIRCUSシステム β版を公開開始 |
2021.06 | 新版CIRCUSシステム フリーソフトとして公開開始 |