2021年度上半期論文ハイライト part1

張申逸先生

虎の門病院放射線診断科 卒後5年目 後期研修3年目

Relationship of the paracentral lobule with other structures. The yellow line shows the paracentral lobule formed by the extension of the medial surface of the precentral and postcentral gyri (blue linear and white dotted lines, respectively). The precentral gyrus represents Brodmann area 4, while the postcentral gyrus represents Brodmann areas 1–3 and 5. The central sulci are indicated by white arrowheads. Note the hyperintensity of the paracentral lobule cortex (yellow arrows) in comparison with that of the ipsilateral superior frontal cortex (white arrows)

Cho S, Kurokawa R, Hagiwara A, Gonoi W, Mori H, Kawahara T, Nakaya M, Sakamoto N, Fujita N, Kamio S, Koyama H, Abe O. Localization of the central sulcus using the distinctive high signal intensity of the paracentral lobule on T1-weighted images. Neuroradiology. 2021 May 6. doi: 10.1007/s00234-021-02729-4.

内容紹介

脳の中心傍小葉という部分の皮質のT1強調画像での信号が他の部分と異なるということ、その所見が中心溝の同定に有用であるということを検討しました。中心溝は一次運動野である中心前回、一次感覚野である中心後回の解剖学的な目印であり、臨床的にも重要な構造です。

ひとこと

自分にとっての初めての筆頭論文で、研究経験０からのスタートだったので大変でした。Acceptまで行けたのは、先輩方のご指導ご鞭撻の賜物です。

黒川遼先生

University of Michigan留学中　2012年卒（医師10年目、放射線科8年目）

ミシガン大学留学中の黒川遼先生

2021年6月ハイライト黒川先生論文

Kurokawa R, Kamiya K, Inui S, Kato S, Suzuki F, Amemiya S, Shinozaki T, Takanezawa D, Kohashi R, Abe O. Structural connectivity changes in the cerebral pain matrix in burning mouth syndrome: a multi-shell, multi-tissue-constrained spherical deconvolution model analysis. Neuroradiology. 2021 Jun 18. doi: 10.1007/s00234-021-02732-9.

内容紹介

口腔灼熱症候群という口腔内に灼熱感や疼痛を来す疾患を持つ患者さんと正常コントロール群との間で、大脳の構造的connectivity（白質の分布やその程度）とを比較した研究です。Pain matrixという、大脳にある疼痛に関連した諸構造のconnectivityに両群で差があることを示しました。

ひとこと

週末に集まってMRIの撮像を行うのは新鮮な体験で、いろいろなことを学ぶことができました。ご指導いただきました神谷先生、雨宮先生、阿部先生に感謝いたします。若手の皆さんは、誘われたプロジェクトには「遠巻きに眺める人」ではなく「積極的に飛び込む人」になってほしいなと思います。先生方は本当にしっかり指導してくださいますよ！

藤田奈奈先生

都立墨東病院診療放射線科 放射線科入局4年目

藤田奈奈先生2021年6月ハイライト

Fujita N, Kurokawa R, Kaneshima R, Machida M, Kawai G, Wada T, Takahashi M, Nakaya M, Sakamoto N, Cho S, Abe O, Matsuoka Y. Patient with penile metastasis from prostate cancer and survival over 5 years: A case report with longitudinal evaluation using computed tomography and magnetic resonance imaging. Radiol Case Rep. 2021 Mar 26;16(6):1255-1258. doi: 10.1016/j.radcr.2021.02.064.

内容紹介

悪性腫瘍の陰茎転移は非常に稀な疾患かつ予後不良であることが知られています。陰茎転移のMRI所見は報告されていますが、画像経過をフォローアップした症例はこれまで報告されていませんでした。前立腺癌からの陰茎転移で、診断後5年以上生存し、MR画像検査を用いた画像評価を行った1例を経験したので報告しました。

ひとこと

初めてfirst authorとして執筆をしましたが、黒川先生をはじめ諸先生方に手厚くご指導いただき完成させることができました。この場をお借りして改めて感謝申し上げます。