阿部修教授インタビュー part 2

投稿者: 久保貴俊 / 投稿日: 2021年01月17日
東大放射線科教授を務められている阿部修先生。パート1では、阿部先生のご経歴、ご研究やご趣味について伺いました。パート2では、東大放射線科の医局運営について伺います。

東大放射線科という医局について

インタビューは和気あいあいとした雰囲気の中で行われました。

――続いては医局について伺っていきたいと思います。現在、東大放射線科医局に所属する先生はだいたい何人くらいいらっしゃるのでしょうか。

阿部:医局員はOBも含めて280〜300人くらいです。アクティブに医局人事で異動している先生となるともう少し少なくなります。

――300人! すごい人数ですね。関連病院にはどのような病院があるのでしょうか。

阿部:立地についていえば都心の病院が多く、ほとんどが関東圏内です。病院の種類としては一般病院から大学病院までかなり幅が広くなっています。

――関連病院の幅が広いことは、若手医師にとっては色々な施設で研修が行えると言うメリットがあると思いますが、実際のところはどうでしょうか。

阿部:若手医師の関連病院の希望についてはかなり尊重していると思います。ほとんどの先生は第3希望くらいまでの病院に行けているはずです。

――実際に私たちの周りの先生も希望した病院で研修できたと言っている先生がほとんどです。

阿部:ただ、若手医師のうちはあまり「この施設以外では働きたくない」とは決めずに、一年おきくらいに色々な施設を巡ってみることを個人的にはおすすめします。関連病院ごとに得意なジャンルは異なりますし、指導者としても様々な領域のトップランナーがいるので色々な施設を巡ることで自分の可能性を広げられると思います。

――色々な領域のトップランナーの先生が様々な関連病院にいらっしゃるのも医局の特徴ですよね。

診断部と治療部

―――ちなみに東大病院放射線科診断部としてはどのような特徴があるのでしょうか。

阿部:先代の教授であった大友邦先生(現・国際医療福祉大学学長)が掲げられていた「多様性を推進力に」というスローガンを引き継ぎ、各人の個性を尊重しています。診療においても研究においても多様性があり、一人一人特色のある人が揃っている印象です。様々な人がいることで、診療では各領域を満遍なくカバーできており、他科からの要求に柔軟に応じられる対応力があることが強みだと思っています。一方、研究面でも多様な研究が行われていますが、どうしても診断部の研究は個人プレイに近い部分があるため、チームとしての研究という面をこれからは強化していきたいです。今後は大学院を卒業したスタッフがリーダーとなって、研究のノウハウやスキルをチームとして伝えていくシステムを構築していきたいと思っています。

入局1,2年目でインタビュワーの大役を務めた、診断部の金丸先生と治療部の森島先生

――治療部との関係についてはどうでしょうか。

阿部:治療部が一緒にあることで、横断的な関係を築けています。特に専門医の育成については、風通しよく協力できていると思います。

――確かに治療部の先生が診断部で、逆に診断部の先生が治療部で研修を行うことで、お互いに研修後も診療や研究について相談しやすい環境が築けている印象があります。ちなみに診断部で研修を行う際に治療部の先生がやっておいた方が良いことなどありますでしょうか。

阿部:9ヶ月という限られた期間で診断すべてを学ぶことは難しいですが、画像診断はまず広く基本的な知識を身につけることが重要です。薄い本で良いので網羅的な記述がされている画像診断の本をしっかり読破するなど、全般的な知識を身につけることが最終的に治療医になった時にも活かせる知識になるのではないかと思います。

――診断も治療も全身的な知識を身につけることが重要だという先生のお考え、とても参考になります。ここまでは関連病院や東大院内のことについて伺ってきましたが、留学についてはどのようになっているのでしょうか。

東大放射線科の留学、産育休

阿部:国内留学についてはまったくハードルはありません。海外留学については、どこの医局でも科でも同じで収入面の問題があると思いますが、留学すること自体のハードルは特に高くないです。

IVR留学経験もある久保先生(左)が、企画から進行まで優しくインタビューをリードします。

――医局として提携している留学先はあるのでしょうか。

阿部:特定の病院や大学はありませんが、相談していただければ紹介することは可能です。

――留学を希望した場合、希望は聞き届けられるのでしょうか。

阿部:医局人事との兼ね合いがあるため何十人も一度にというのは現実的ではないですが、基本的には快く送り出しています。特に海外で新しい臨床・研究スキルを身につけて医局に持ち帰ってくれるような人は大歓迎です。

――留学の希望にも柔軟に対応していただけると聞き、安心しました。働き方についても少し伺わせていただきたいのですが、産休や育休は取りやすい体制なのでしょうか。

阿部:産休・育休はとるのが当然の権利です。是非とってください。産休や育休をとったことでなんらかの不利益を被ることはありません。

「産休・育休はとるのが当然の権利です」と心強いお言葉。医局では毎年片手で収まらない数の出産報告があります。

――産休・育休から復帰する場合、時短勤務で復帰したいなどの希望は可能でしょうか。

阿部:時短勤務が可能な関連病院もありますし、医局全体としても働き方については柔軟に対応しています。実際に時短勤務をされている先生方もいらっしゃいます。心配せずに相談してください。