第81回日本医学放射線学会総会受賞報告

投稿者: 石田尚利, 三木聡一郎 / 投稿日: 2022年05月19日
当科助教の三木聡一郎先生が、第61回日本医学放射線学会総会でGold Medalを受賞しました。

Soichiro Miki, Shouhei Hanaoka, Yukihiro Nomura , Takahiro Nakao, Saori Koshino, Takeharu Yoshikawa, Naoto Hayashi, Osamu Abe. JRSゲームセンター:来たれ、肺結節検出でAIに勝てる読影医

発表スライド(抜粋)
実機展示発表の様子。

内容紹介

当教室講師の花岡先生が、胸部単純写真から肺結節を検出する優秀なAIを作成されたので、「このAIに勝てる人類はどれだけいるのか、挑戦者求む!」という体裁でゲーム形式での実機展示発表にしてみたものです。

実際に180人以上の方に挑戦していただいた結果、このAIが確かに人間といい勝負をしており、むしろ難しい結節の検出においては大部分の人間を凌駕している、と分かりました。詳細なAIと人間の『対戦』成績は以下のページで確認できます。

ほぼ1人でこれだけの性能のAIを構築してしまった花岡先生がまず凄いのですが、客観的に性能を示したいだけなら、科内の何人かで読影実験をしてその結果を発表するのが普通です。ですが今回はこのAIの性能を誰でも実体験できるようにすることが主眼でした。AIを使って日常の読影をしている放射線科医はまだ非常に少数です。「ここまでできるんだ」と、できるだけ多くの人に実感を持ってもらうことをゴールに、タイトルも含めてキャッチーさにはこだわりました。決してふざけてたわけではないんです…。

ひとこと

学会発表としては相当な変化球なので誰かに怒られないだろうか、万が一AIが性能で人間にボロ負けしちゃったらどうしようか、などと内心ヒヤヒヤしていましたので、いろんな意味で良い結果だったことに正直ほっとしています。

現地でゲームに参加していただいた先生の中には単純写真の教科書を執筆されているような方もいらっしゃったのですが、ほかの誰も見つけていない心臓の裏にあるような結節までバシバシ言い当てていく様には、ちょっと感動しました。

ところで、これを開発していた時期に偶然見かけたとある調査によると、今の男子高校生がなりたい職業の1位から6位は、会社員・公務員・ITエンジニア・教師・ゲームクリエイター・医師、なんだそうです。「大学病院で研究と称して堂々ゲーム作りしてる自分って、今ほぼほぼ6冠王なんじゃ…?」と密かに思ってました、ごめんなさい。