受賞報告(黒川遼)
米国ミシガン大学に留学中の黒川遼です。今年も北米放射線学会 (RSNA) において夫婦で受賞&夫婦でRadioGraphicsのinvitation選抜を達成できました。現地のレポートと併せまして、受賞のご報告をさせていただきます。
放射線科の世界最大の学会であるRSNAの第108回大会は、2022/11/27〜2022/12/1に米国シカゴのMcCormick Placeにて開催されました。参加者にCOVID-19の陰性証明・ワクチン接種証明・マスク装着が必須で閑散としていた前回大会とは大きく変わって、RSNA 2022ではこれら全てが義務化されておらず、現地参加者が大幅に増加しており、コロナ禍以前と同様の熱気が復活していたように思いました。例年通り、初学者からベテランまでどのレベルの参加者でも勉強できるように豊富なレクチャーや電子ポスターが用意されており、私もNeuroradiology領域を中心に楽しく勉強させていただきました。


企業展示ブース内では今年もAI専門の区画が用意されており、注目度の高さが伺われました。日本人・日本語対応スタッフを配置しているブースもいくつもありました。私は自身の研究をサポートしてくれるようなAI技術を探していたのですが、どのブースのスタッフもとてもフレンドリーかつ熱心に説明してくれました。

最終日の1日前には教育展示の賞の発表がありました。また、学会終了後の週明けの月曜日には、RSNAのレビュー雑誌であるRadioGraphics誌のinvitation対象となる「Identified for RadioGraphics」の発表がありました。私は筆頭で6演題発表し、2演題でCertificate of Merit、別の1演題でIdentified for RadioGraphicsを受賞しました。
受賞したのは以下の3演題です。
Solitary Fibrous Tumor in the Brain, Head and Neck, and Spine: Basic and Advanced Neuroimaging(脳・頭頸部・脊髄のSFTのbasic・advanced imaging; MSEE-2) 《Certificate of Merit》
Pediatric Neurodegenerative Diseases: Pathophysiology and Neuroimaging Features( 小児の神経変性疾患の病態と画像所見; NREE-27) 《Certificate of Merit》
Dural and Leptomeningeal Diseases: Anatomy, Etiology, and Neuroimaging(髄膜病変の解剖・病態・画像所見; NREE-4) 《Identified for RadioGraphics》
また、共同演者としても8演題に携わり、妻の黒川真理子医師のMagna Cum Laude、Certificate of Merit、Identified for RadioGraphics(3演題全て受賞!!!)、馬場亮先生(東京慈恵会医科大学放射線科から留学中)のCum Laudeの、計4演題の受賞にご協力させていただきました。
今年のミシガン大学放射線科(全領域含む)での12演題の受賞のうち、7つはNeuroradiology領域からで、全て我々日本人グループによるものです。「Identified for RadioGraphics」は分野によって受賞率が大きく異なることも有名ですが、最も受賞率の低いNeuroradiology領域(今年は5/132, 3.8%)で選抜された5演題のうちの2つは私と妻の演題でした。
阿部修教授、森谷聡男教授(ミシガン大学)をはじめとする多くの施設の共同演者の先生方のご協力・ご指導に感謝申し上げます。

来年のRSNA 2023における教育展示のabstract締切まで、残り約4ヶ月となりました。RSNA 2023では自身の展示のみならず、これまで以上に指導にも力を入れるべく、仲谷元先生ら後輩の先生方と計画を始めています。来年もシカゴで受賞の喜びを仲間と分かち合えるように、がんばりたいと思います。RadioGraphicsの執筆を始めつつ。
受賞報告(黒川真理子)
米国ミシガン大学に留学中の黒川真理子です。第108回北米放射線学会 (RSNA 2022) の教育展示には筆頭著者として3演題提出し、
Clinical Applications of MR Spectroscopy in the Era of Molecular and Genetic Diagnosis 《Magna Cum Laude》
The Pearls and Pitfalls of Diagnosis for Spinal Cord Abnormalities with Emphasis on the Combination of Patterns on T2, Postcontrast T1 and Diffusion-weighted Imaging 《Certificate of Merit》
Cytokines and Central Nerve System: What Radiologists Should Know? 《Identified for RadioGraphics》
をそれぞれ受賞し、大変ありがたく存じます。また、共同演者の皆様のご指導ならびに症例ご提供に厚く感謝申し上げます。特にミシガン大学放射線科の森谷聡男先生にはテーマの選び方や全体の構図に関して沢山のご助言をいただきました。
3つの演題の中で最も時間を割いて勉強したのがサイトカインの演題で、サイトカインストームと画像診断との関連に以前から興味があったので、そこを起点として様々な病態(例えばG-CSF産生腫瘍など)を紹介する演題となりました。RadioGraphicsにacceptされた際にはご一読いただけると幸甚でございます。

RSNAで他国や様々な分野の先生がどんな展示を作成していてどんな話題がホットなのか、毎年勉強させていただくのを楽しみにしております。今年はphoton-counting CTの発表が目立ちました。学会が終わった後も4月頃までオンラインで展示を見ることができるので、教科書を読むのに飽きたときや知識をブラッシュアップするための題材探しとしております。
来年以降も少しでも放射線科に貢献できたらと存じますので、今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。