栗林研究奨励賞 (IVR領域) 受賞報告

投稿者: 佐藤裕子, 三木聡一郎 / 投稿日: 2023年05月22日
医局員である佐藤裕子先生の論文が、日本医学放射線学会の2022年度栗林研究奨励賞を受賞しました。

Sato Y, Shirota G, Makita K, Itoh D, Hayashi TY, Akamatsu N, Matsui S, Saito J, Omura M, Nishikawa T, Abe O. Anatomical Variations of the Left Adrenal Vein Encountered During Venous Sampling. J Vasc Interv Radiol. 2022 Jan;33(1):71-77.e3. doi: 10.1016/j.jvir.2021.09.005.

論文要旨

超選択的副腎静脈サンプリングとは、通常の左右の副腎中心静脈に加え、さらに細い支脈に入れ分けて採血を行う検査です。原発性アルドステロン症の局在診断(片側性/両側性など)と治療方針決定(手術療法か薬物療法か)のために行います。一般的に右副腎静脈採血が難しく、左副腎静脈採血は簡単とされますが、実際には支脈レベルの解剖学的変異から、左副腎静脈からの採血に困ることがしばしば経験されます。そのため、過去の血管撮影画像を後方視的に振り返り、左副腎静脈の支脈レベルでの血管解剖について分類しました。

この解剖分類は支脈採血の有無を問わず、副腎静脈サンプリングにおいて重要と考えています。特に超選択的副腎静脈サンプリングでは血管解剖と腫瘍の位置関係を理解することで、どの支脈が腫瘍支で、どれが非腫瘍支か、などを検討することができ、より有意義な検査に繋がるのではないかと思います。

ひとこと

この度、栗林奨励賞をいただき、大変光栄に思います。

拙著が最初に書き上がったのは2020年の夏でした。この年の春にはCOVID-19の院内感染のために病院が完全にストップしました。私たちの科は直接患者さんに関わる機会が少ないですが、さまざまなところから聞こえてくる情報に何とも言えない無気力な状態になったのをよく覚えています。検査数が少ないうちに書き上げてしまえばよかったのに、そううまくはいかず、まとまったのは病院が再開した後でした。 そこから3年。このような賞を賜り、パシフィコ横浜の大ホールで授賞式を執り行っていただくことは、全く想像しておりませんでした。

授賞式の日はお天気に恵まれ、馴染みのある横浜の海と空はそれぞれきれいな青で迎えてくれました。

やり甲斐を感じでいることで賞をいただくことができ、ご指導いただいた牧田先生、白田先生をはじめ、多くの先生方に感謝申し上げます。

最後に、共著者の先生方が新たなエールをくださったのがとても嬉しかったです。その言葉を忘れずに引き続き精進してまいりたいです。